特集記事

「除雪・消雪」

雪水輸送や散水消雪で活躍‥‥雪と闘うヨコタのポンプ (PAT.)

雪と闘うヨコタのポンプ

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。‥‥」というのは、川端康成の小説「雪国」の有名な書き出しですが、雪にそれほど縁のない所に住む人達にとってはロマンチックな雪国も、実際にそこに住む人達には雪ほど厄介なものはありません。
ところが、面積的にみると日本の国土の半分は雪国なんだそうです。ご存知でしたか?

雪国では市民生活を守るために様々な雪氷対策が施されていますが、雪による被害の中で最も大きな影響を及ぼすのは、やはり鉄道や道路への積雪です。
鉄道や道路の雪氷対策として考えられた方法の一つに、除雪作業で集めた雪を河川まで水力輸送して捨てる「雪水圧送システム」というのがあります。又、路面に水をまいて雪を融かす「散水消雪システム」というのもあります。

これらのシステムには多くのポンプが使われます。一般のポンプで用が足りる場合も多いのですが、しかし運転条件が厳しい場合、例えば空気の混じった雪水を水力輸送するとか、強力な吸い上げが必要になる場合には、一般のポンプではうまく行きません。
そういう運転条件の厳しい現場で使われるのが、ヨコタの「自吸渦巻ポンプ」や「超自吸ポンプ 」です。いずれも「連動抽気」というユニークな仕組み(特許)によって難しい作業も楽々こなします。

では、ヨコタの「自吸渦巻ポンプ」や「超自吸ポンプ」がどのように使われているのか、鉄道と道路での具体的事例によってご紹介します。


 事例その1−「鉄道駅構内の除雪システム」

鉄道駅構内の除雪システム

北陸にあるF駅は、谷間に位置しており、近くを流れる川の川底よリ 8.5m も低くなっています。このため自然排水ができません。他の多くの駅には早くから流雪溝(除雪した雪を流す側溝)が作られていましたが、この駅にはできなかった最大の理由です。
1983年秋、この駅の構内に全国初の「雪水混合流体圧送システム」という新しい除雪システムが完成しました。
わずか6人で除雪ができ、豪雪でも列車がひどく遅れたり運休することは皆無になりました。それ以前の、スコップによる人力作業が行われていた当時は、ポイント付近の除雪だけで1日約 50人がかりで、新除雪システムの威力は歴然としています。

雪水混合流体圧送システムとは?

「雪水混合流体圧送システム」は、新潟県の科学技術庁 雪害実験研究所が開発した技術で、雪を水の中に投げ込みスクリューでかき混ぜてシャーベット状にし、配管を通してポンプで遠い所へ圧送・放流するシステムです。「雪の水力輸送」とも呼ばれています。

雪水混合流体圧送システムの概念
雪水混合流体圧送システムの概念

この駅の場合、構内の線路沿いに計3本、延ベ 1.2km の流雪溝が新設されました。
川からの取水量が河川管理上毎分 5.2トンに制限されているため、流雪溝の一部に貯水槽を設けて川から事前に吸い上げた水を貯えておき、使用時はこの水槽から毎分 10トンの水を供給し、川から取水する 5.2トンと合わせた毎分 15.2トンを流雪溝3本のうちの1本を選んで流してやります。
そして、線路上の雪をロータリー除雪車で噴き上げて、この流雪溝に放り込みます。流れる雪はスクリューが回転する雪水撹拌機へ導かれ、粉々に砕かれます。
このあと、すのこ状のフィルターを通して、シャーベット状の雪水は約 900m 離れた川に設けた放流口まで、線路脇に敷設された鉄管で圧送されます。放流口からは毎分 5.2トンの水と 1.05トンの雪が勢い良く吐き出されます。フィルターでこされて余った水は再び貯水槽に戻って循環されます。

雪水混合流体圧送システム

ヨコタのポンプが使われるのはなぜ?

この除雪システムで重要な役割を果たすのは、河川から水を吸い上げて来る「取水ポンプ」と、その水に除雪した雪を投入した雪水混合流体を放流場所の河川まで圧送する「雪水圧送ポンプ」です。

これらのポンプは、次のような能力が要求され、一般のポンプでは到底これらの条件は満足できません。

「取水ポンプ」については、河川からの吸水配管が長く、しかも堤防越え(山越え)の吸水配管であっても吸込運転できる能力が必要です。

「雪水圧送ポンプ」については、撹拌機で粉砕されたシャーベット状の雪水は 30〜40% の空気を含んでおり、これを一般のポンプで吸い込むと、揚水量が極端に低下したり揚水中断を起こしてしまいます。この 30〜40% の空気を排除しながら吸込運転を続けられる能力が必要です。


これらの厳しい条件を満たすことのできるポンプとして、ヨコタの「自吸渦巻ポンプ」や「超自吸ポンプ」が選ばれたわけです。
又、ポンプ停止時の水撃(ウォーターハンマー)を防止して安全揚水するために、ヨコタ無水撃チェッキ弁も併せて採用されました。

駅構内概要図


駅構内概要図







1:

取水ポンプ

2, 3, 4:

流雪溝

5:

雪水混合撹拌槽、雪水圧送ポンプ

6:

雪水圧送配管



河川取水口 取水ポンプ UHNS 型 と無水撃チェッキ弁 流雪溝
河川取水口 取水ポンプ UHNS 型 と無水撃チェッキ弁 流雪溝
雪水撹拌機 流雪溝 線路の雪を流雪溝に投げ込むロータリー除雪車
雪水撹拌機 流雪溝 線路の雪を流雪溝に投げ込むロータリー除雪車
雪水圧送ポンプ UPS 型と無水撃チェッキ弁 雪水輸送配管 河川に設けた放流口
雪水圧送ポンプ UPS 型と無水撃チェッキ弁 雪水輸送配管 河川に設けた放流口


取水には「ヨコタ自吸渦巻ポンプ UHNS 型」(特許)‥‥長い吸水配管でも自吸

取水ポンプには、吸水配管が長く堤防越えという厳しい吸込条件を満足するポンプとして、「ヨコタ自吸渦巻ポンプ UHNS 型」が選ばれました。
主ポンプとして強力な自吸力のある自吸渦巻ポンプを用い、それに抽気ポンプを付加して自吸力を更にパワーアップし、自吸時間を短縮しています。そして、主ポンプと抽気ポンプの間には気水分離羽根が取り付けられて、水や泥が抽気ポンプに侵入するのを防ぐ「連動抽気」という仕組み(特許)となっています。

主ポンプ自体に自吸力があるため、通常の条件下では抽気ポンプを停止してもさしつかえありません。

連動抽気の仕組み(特許)
主ポンプの自吸の仕組み(特許)
連動抽気の仕組み(特許)
自吸渦巻ポンプ 自吸原理図(特許)
UHNS 型全体図
UHNS 型全体図

雪水圧送には「ヨコタ超自吸ポンプ UPS 型」(特許)‥‥空気を排除しながら圧送

雪水圧送ポンプは、この除雪システムの一番の心臓部であり、ノンクロッグ羽根付きの「ヨコタ超自吸ポンプ UPS 型」が選ばれました。

撹拌機で粉砕されたシャーベット状の雪水は 30〜40% の空気を含んでおり、液体、固体及び気体が混合した、いわゆる「混相流」「多相流」と呼ばれる状態になっています。
これを一般のポンプで吸い込むと揚水量低下や揚水中断を起こしてしまいますが、ヨコタ超自吸ポンプにおいては、抽気ポンプを常時運転して混入空気を常に排気しながら安定的に揚水を継続します。又、気水分離羽根の働きにより、雪水は抽気ポンプには侵入しません。

ヨコタ超自吸ポンプ UPS 型

1:

ポンプ吸込口

2:

主羽根車

3:

気水分離羽根

4:

戻り通路

5:

抽気ポンプ


ヨコタ超自吸ポンプの仕組み (特許)

(1)

渦巻ポンプと抽気ポンプの間に気水分離羽根 3 を配置しています。

(2)

運転を開始すると、渦巻ポンプの主羽根車 2 は空転すると共に、抽気ポンプ 5 が作動し、吸込管内の空気が排除されます。

(3)

空気が完全に排除されると揚液はポンプ室に流入し、更に主羽根車 2 により外周に吐き出されます。

(4)

抽気ポンプ 5 の吸引により、中心部の気水混合体は主羽根車裏側から気水分離羽根 3 に達します。

(5)

気水混合体は気水分離羽根 3 の回転により瞬時に遠心分離されます。

(6)

液体は戻り通路 4 を通って再び吸込口 1 に戻り、気水分離羽根 3 の中心部に集まった空気のみが抽気ポンプ 5 に吸引されます。


従って、吸込側はいつでも抽気ポンプの最高真空度と排気量がかかる状態で運転されるので、ポンプ吸込口及び主羽根車に空気閉塞を起こすことが無く、常に安定した最高のポンプ性能を発揮する事ができるわけです。
又、気水分離羽根の働きによって、泥・砂などの異物が抽気ポンプに侵入することを防止するので、安全です。


 事例その2−「道路の散水消雪システム」

道路の散水消雪システム
道路の散水消雪システム

「散水消雪システム」とは、文字通り「道路の上に水をまいて雪を融かす」ことで、上の図のように、ポンプで取水した水を散水箇所まで送り、ノズルを通して路面に散水するようになっています。
利用する水は、地下水、河川水、海水、温泉水などがあり、従来は主に地下水を使っていました。しかし地下水をあまりたくさん汲み上げると水位低下や地盤沈下を起こすので、これを防止するために、河川水の利用に目が向けられるようになりました。

滋賀県K町は、農林業が中心の町です。年間降雪日数は 33日、降雪量 290mm という気象条件です。
この町に最初に散水消雪システムが導入されたのは 1977年でした。それから 1991年までに取水ポンプ場として 15ヶ所、消雪パイプの総延長距離は9km の規模となっています。15ヶ所のうち、河川水取水の3ヶ所には、ヨコタの「完全防水型自吸渦巻ポンプシステム」が設置されています。

鳥取県K町は、梨やブドウの果樹農業が中心の町です。年間降雪日数は 50日、降雪量 900mm という気象条件です。
この町に最初に散水消雪システムが導入されたのは 1981年でした。それから 1991年までに 11ヶ所の散水消雪システムを設置し、消雪パイプの総延長距離は 7.4km となっています。河川水取水はこの内の1ヶ所だけですが、ここにもヨコタの「完全防水型自吸渦巻ポンプシステム」が設置されています。
河川水取水といいましても、この施設の近くにたまたま農業用水路があり、冬期は使用しないのでそこから取水しています。しかし冬期は水量が少ないので、図のように水路に円柱形のゴム風船で堰(ラバーダム)を作って水を溜め、揚水しています。そして、春になって農業の方に水を使うようになると、堰の空気を抜いて水を通し、農業用水路として使えるようにしています。

散水消雪システム
散水消雪システム


ヨコタのポンプが使われるのはなぜ?

地下水取水にしても河川水取水にしても、使用するポンプは水中ポンプか横型渦巻ポンプが一般的ですが、それらは次のような問題を抱えています。

水中ポンプでは‥‥

常に水中に漬かっているので寿命が短く、ひどい場合は1年もしない内に故障して使えなくなることもあります。

修理するにも、水中から引き上げるのに大変手間がかかり、費用が高くつきます。

横型渦巻ポンプでは‥‥

寿命は水中ポンプよりもはるかに長持ちで、ポンプを地上に設置するので修理にも便利ですが、ポンプ建屋の敷地を確保しなければなりません。

騒音対策や冬期の凍結対策が必要です。

ポンプが空気を吸い込んだ場合には揚水不能になる可能性があり、このため自動運転の信頼性に不安があります。


これらの問題を全て明快に解決したのが「ヨコタ完全防水型自吸渦巻ポンプシステム」なのです。


取水には「ヨコタ完全防水型自吸渦巻ポンプシステム」(特許)‥‥水没も平気な自吸式

ヨコタ完全防水型自吸渦巻ポンプシステムの特長

ポンプを歩道の下などに地下ピットを作って設置しますので、敷地の心配はいりません。

地下ピット内は地上よりも温かいので、凍結対策に有利です。もちろん騒音対策にも有利です。

地下ピット内に水が入ってポンプが水没しても、水中モーター付きの完全防水型ですから、全く心配はいりません。

このポンプの最大の特長は、空気を吸い込んでも平気で揚水を続けられるという点です。
主ポンプとして強力な自吸力のある「水中モーター付き自吸渦巻ポンプ UHPR 型」を用い、それに「ヨコタ抽気ポンプ」を付加して、自吸力を更にパワーアップしています。大量の空気の吸い込みがあっても、ヨコタ独自の「連動抽気」という方法(特許)で抽気ポンプが連動して空気を抜き取りますので、ポンプが空回りを続けて焼き付くなどという心配は全くありません。

更に信頼性を高めるために、ヨコタ無水撃チェッキ弁(特許)も取り付けています。消雪パイプは数百m から1km を超える長さですから、一旦水撃が発生するとかなりの規模になり、被害も甚大になることが予想されますが、無水撃チェッキ弁は、この水撃を完全に防ぎます。


つまり、水没 OK の完全防水であり、空気混入 OK の完全抽気タイプなので、地下設置の無人自動運転が可能です。

地下ピットの地上部
水中モーター付き自吸渦巻ポンプ

 

地下ピット内の抽気ポンプ

 地下ピットの地上部

 地下ピット内の
水中モーター付き自吸渦巻ポンプ

 地下ピット内の抽気ポンプ


ヨコタ完全防水型自吸渦巻ポンプシステム


1:

自吸渦巻ポンプ UHPR 型(主ポンプ)

2:

抽気ポンプ

3:

無水撃チェッキ弁

4:

無送水検知器

5:

主羽根車

6:

抽気羽根

7:

気水分離羽根


水中モーター付きの自吸渦巻ポンプ UHPR 型(主ポンプ)と抽気ポンプがセットになっており、これに無水撃チェッキ弁と無送水検知器が加わって、完全自動運転ができるシステムになっています。

(1)

スイッチを入れると、主ポンプと抽気ポンプが同時に起動します。

(2)

吸込管内の空気は主ポンプ内に入り、抽気ポンプによってどんどん排気され、主ポンプ内に水が満ちてくると送水が始まります。

(3)

送水が始まると、抽気ポンプは電気節約のため自動停止します。

(4)

揚水運転中に空気を吸い込んでも、主ポンプ自体の自吸力によって揚水を続けます。

(5)

万一大量に空気を吸い込んで揚水不能に陥ると、無送水検知器がこれをキャッチし、抽気ポンプを起動し、同時運転によって強力に排気します。


主ポンプと抽気ポンプを同時運転すると、どうしても抽気ポンプに揚水が流れ込んで来ます。一般の抽気ポンプの場合は、この揚水に混じって流入する泥などによって故障する恐れがありますが、ヨコタの抽気ポンプの場合は、抽気羽根 6 の前に気水分離羽根 7 を設けており、水や泥はここで分離して吸込側に戻し、空気だけを大気に排出する仕組み(特許)になっています。
この仕組みによって守られた抽気ポンプが、大量の空気でも連続的にどんどん排気してくれるので、主ポンプを停止させることなく揚水を続けることができるのです。

これがヨコタの抽気ポンプの大きな特長であり、完全無人運転も可能になりました。


ヨコタ無水撃チェッキ弁 (特許)について

上記のいずれの装置にも、安全揚水のためにヨコタ無水撃チェッキ弁が取り付けられています。

ポンプが停止した時、正流から逆流に転ずる瞬間、すなわち管内の流体が停止する瞬間に弁が閉鎖するので、逆流による水撃(ウォーターハンマー)が発生せず、送水管の破裂やポンプの破損を防止できます。

一枚弁の簡潔な構造で故障がありません。整備費が格段に削減できます。

無送水検知器も取り付け可能です(オプション)。


ポンプ停止後の経過時間と圧力変化
ヨコタ無水撃チェッキ弁 一般のチェッキ弁(逆止弁)
ヨコタ無水撃チェッキ弁 一般のチェッキ弁


各製品のより詳しい説明については、
 自吸渦巻ポンプ UHN シリーズ(UHNS、UHPR 型)
 超自吸ポンプ UPM、UPS 型
 無水撃チェッキ弁 SL シリーズ
をご覧ください。

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